ボイラーの運転操作

LESSON 27からはボイラーの運転操作について学習します。

LESSON27 取扱い3つの基本事項


ボイラーの安全性、経済性、長寿命を維持するために3つの基本事項があります。

1.事故を起こさないために正しい操作を常に心がけます。
炉内のガス爆発、圧力による破裂の危険を避けるためにはボイラーの正しい操作と日常の点検、整備を怠ってはいけません。
2.燃料の完全燃焼、経済的使用、排出ガスの大気汚染の防止などに配慮します。
3.ボイラーの長寿命を心がけ、予防保全を行います。

ボイラーの大きさや利用状況などを考えて、一年間の運転計画、保全計画をたて、管理をすることが大切です。

LESSON28 ボイラー使用開始前の準備


長い期間使用していなかったボイラーや新設されたボイラーを使用する前には、点検と準備が大切です。
●ボイラーの点検と準備

▲ボイラーの点検
内部の汚れ、部品の取り付け忘れ、工具等の置忘れなどの異常がないか、マンホール、掃除穴にふたを取り付け、密閉が完全にされているか確認します。マンホールのふたを閉めるときは、内部に作業中の人がいないかどうか、声をかけて確認してください。

▲ボイラーの給水
ボイラーに初めて給水することを水の張り込みといいます。ボイラー内部の圧力が上がらないように、空気抜き弁を開いたままで給水します。低水位警報器、低水位燃料遮断器などのインタロックのあるボイラーの場合は正しく作動するかどうか確認してください。

▲水圧試験
ふた部分や水面計のガスケット取り付け部分から漏れがないかを調べるために、整備後水圧試験をする場合があります。利用する水は結露防止のため定温を標準とし、ボイラーを満水にしてから、空気抜き弁を閉じ、徐々に圧力を上げ、常用圧力より10%位高い水圧にし約30分保持します。各部を点検し、漏れがないかを確認します。水圧試験が終わったら、水圧を徐々に下げて、空気抜き弁を開放し、ボイラー水を常用水位まで排水します。

※ガスケット:漏れを防ぐための板状のパッキンのこと
※常用水位は通常は水面計のほぼ真ん中あたりです。
●炉・煙道内の点検

▲炉・煙道内の点検
ボイラーの使用開始後に通風の不良、燃焼ガスの漏れなどがないか、残留物がないか、炉壁・煙道などのようす、漏れがないかを細かく点検します。

▲炉内装置の点検
バーナ口等の異常がないか点検します。バーナの取り付け、バーナチップ、空気口に異常がないか点検します。

※石炭だきはストーカの運転状態、火格子の状態におかしいところがないかを確認します。

▲煙道内装置の点検
ストーブロワ、誘引ファンのダンパ、空気予熱器等に異常がないかを点検します。

▲煙道の密閉
各部の点検をした後、煙道出入り口のふたを密閉します。
●附属品の整備状況の点検

▲圧力計・水高計の点検
計器、サイホン管、連絡管の取付け、途中の止め弁の開閉状態の異常がないか

▲水面測定装置の点検
○水位を正しく示すか
○水柱管、連絡管の状態、途中の止め弁の開閉状態の異常がないか

▲安全弁・逃がし弁・逃がし管の点検
○安全弁の調整、整備
○排水管と取付けに異常がないか
○逃がし管は閉塞していないか
○凍結防止対策はしているか

▲吹出し装置の点検
○吹出し弁、コックの開閉操作
○グランドのパッキンに増し閉めできるか
○吹出し管全体の状態に異常がないか

▲給水止め弁・逆止め弁の点検
状態に異常がないか

▲主蒸気弁の点検
開閉操作に不具合がないか、グランドのパッキンが増し締めできるか

▲空気抜き弁の点検
漏れ試験の場合は満水状態になるまで開く
●自動制御装置の点検

▲電気回路・制御盤の点検
配線の絶縁、制御盤内のほこり、水分の付着がないか、電気接点に異常がないか

▲配管の点検
空気・油・水等(駆動用媒体)、点火用燃料、通風圧検出用等の配管配管に損傷、漏れ等の異常がないか

▲調節弁・操作機構の点検
○調整弁の変形、腐食、各部品の異常がないか
○回転部分、しゅう動部分の作動が円滑か、潤滑油は十分か
○自動給水装置、ダンパなどのリンク機構、ワイヤ、チェーンなどの変形、さびつき、緩み、設定位置の不良

▲水位検出器の点検
内部の汚れ、障害物がないか、電気系統の結線の誤りがないか、ボイラーとの連絡管の異常がないか

▲火炎検出器・点火装置の点検
○火炎検知器の取付け、保護ガラス、受光面、シールガラスの汚れ、割れがないか
○点火用電極とバーナの位置、電極の損耗、電極のすき間が適正か

●附属装置の使用準備

給水装置の点検
○モータとポンプの回転方向が同じか
○軸にぶれ、継手ボルトとゴムリングの損耗がないか、振動や異常音がないか、吐き出し圧力とモータの電流値が正しく、安定しているか
○メカニカルシートされているグランド部は水漏れ、異常昇温がないか
パッキンシールされているグランド部は水封の状態がよく、水の滴下が適度であり、パッキンの増し締めの余裕があるか
○軸の給油、油質は適正か
○カップリングの回転方向への異常がないか
○ねじの締付け、基礎ボルトに緩みがないか
○給水配管、弁に異常がないか

水処理装置の点検

▲脱気器
○内部取付け棚、金具等の腐食、その他の異常ないか
○配管、吹出し管、弁に漏れ、腐食、つまりがないか
○他の蒸気で加熱脱気器が運転されているとき、内部加熱温度が正常か、脱気の性能が十分か

▲軟化装置、その他
○樹脂の漏れ、細粒化、目詰まりの異常がないか
○樹脂量が少なくなっていないか
○硬度指示薬を住まい、硬度除去の程度、最大処理水量の概略値を測定する
○自動制御の装置は規定値どうりの制御か、各工程の時間は正確か
○樹脂槽、配管、弁等の腐食、漏れ、つまりの異常がないか
ロータリバルブの場合、水がバイパスしていないこと、硬度の漏れがないか

▲薬品処理
○薬液溶解槽、かくはん機に異常がないか
○附属タンク、ポンプ、配管に腐食、漏れ、つまりがないか
○原水圧力が十分であり、ボイラー内水処理薬はきめられた量で正確に注入される状態か

燃焼装置の点検

▲油燃焼装置
○油タンクからバーナへの配管、燃料ポンプ、油加熱器、ストレーナの異常がないか

▲ガス燃焼装置
○燃料ガス遮断弁の内部弁座漏れがないか
○コック、弁、継手部分はガス漏れ検知器、石けん液等のガス漏れ検知液でガスの外部への漏れがないか

通風装置の点検

▲ダンパ
○円滑に動くかどうか、ダンパ枠の溝は清掃がされ、全閉できるか

▲ファン
○軸の給油をし、手動で確認して、異物等がないかどうか
つぎに試運転をし、異常な振動がないか、ダクト全体に異常がないか

見慣れない言葉が続きますが、がんばってください。
LESSON29ではボイラーの点火前に点検、準備を学習します。

LESSON29 ボイラー点火前の点検、準備


ボイラーの点検前には水位、蒸気圧力の有無、附属品の外観、連絡管のコック、弁の開閉状態を目視で点検、確認しなければいけません。

ボイラーの炉内ガス爆発や低水位の事故を防ぐためには、十分な点検や準備が必要です。

▲ボイラーの水位の点検、準備
○水面計で水位を確認します
常用水位よりも高いときは吹出しを、低いときは給水をし、水位を適正になるまで調整します
○水面計の機能試験ができる蒸気圧力がボイラー内にある場合、水面計を試験して、正常かどうかを確認します
○二組の水面計を比べ、同じ水位であるかどうか確認します
○水部にある験水コックから水が噴き出すかどうか確認します
○水柱管に取付けられている水面計は、水柱管との連絡管の止め弁が正しく開いているかどうか確認します
○ガラス管が汚れているときは清掃するか、交換します
常に正確な水位を確認できるようにしておきます

▲ボイラーの吹出し装置の点検
ボイラーの水位が常用水位より高い場合は、運転の前にボイラー水の吹出しを行います
吹出しコック、吹出し弁の機能も正常かどうか確認し、漏れのないように閉止します

▲圧力計の点検
圧力計は圧力がないときは0を示しています
0になっていない場合は取り替えが必要です

▲給水装置の点検
○タンク内の貯水量が十分であるか確認します
○給水管路の弁が開いているか、給水装置が正常か、確認します

▲空気抜き弁
蒸気が発生し始めるまで、空気抜き弁は開いておきます

▲炉・煙道内の通風、換気
煙道のそれぞれのダンパを全開にし、ファンで炉・煙道内の換気をします

▲燃焼・通風装置の点検
○液体燃料の場合、タンクの油量が適正であるか、ガス燃料の場合はガス圧力が適正か確認します
○燃料配管、燃料ポンプ、ストレーナの状態を点検します、手動止め弁の開閉を点検します
○油加熱器を起動し、油燃料を適正な温度に保ちます
加熱器が冷めているときは、加熱蒸気のドレンを吐き出して油燃料の加熱をします
○通風装置のダンパを点検し、開度を確認します

▲自動制御装置の点検
○電源スィッチを入れ、制御盤の通電を電源表示灯で確認します
○空気・油・水等(作動用媒体)や燃料配管の弁の開閉状態を点検し、異常や漏れがないかを確認します
○自動給水調節装置を点検し、機能が正しく作動することを確認します
○水位検出器は設定された水位の上限、下限で正確に給水ポンプの起動、停止、調整弁の開閉が行われるかどうかを点検します
○低水位警報器が正常かどうか点検します
○火炎検出器の受光面、保護ガラスがきれいかどうか確認します
○インタロック系統の制限器に異常がないかどうか点検します

LESSON30ではボイラーの点火について学習します。

LESSON30 ボイラーの点火操作


いよいよボイラーの点火のレッスンにきました。ボイラーの点火前の準備も大切ですが、ボイラーの点火操作も重要なポイントです。点火操作を誤ると爆発や逆火(バックファイア)を起こし、やけどや怪我、火災などの事故につながります。普段から細心の注意をはらい、正しく順番に点火操作を行います。
事前のボイラーの点検が完全であると思っても、再度、確認を行います。

▲ボイラー点火の注意
○燃料、空気の送入の準備は整っていますか
○ボイラーの水位は正しいですか
○炉内の通風、換気は完全ですか

▲油炊きボイラーの点火
○燃料油の加熱
油炊きボイラーの燃料油にはA重油、B重油、C重油等の種類があります。B重油、C重油はそのままでは粘り度が強く、燃焼に適した噴霧を行うことができない状態です。重油の粘度を噴霧に適した状態にするために、加熱する必要があります。重油の加熱温度は構造、バーナの種類、油の種類等で違います。

B重油は50〜60℃、C重油は80〜105℃、C重油より重質の重油は、もっと加熱する必要があります。A重油も寒冷地では加熱する場合があります。

LESSON54液体燃料で燃料の詳しい解説を行います。

○自動装置による起動方法
自動起動の場合も注意が必要です。
起動スイッチを入れると、シーケンスが進行し、自動的に点火前の換気(プレパージ)、点火動作(イグニッション)へと進みます。

・自動に設定しているかスイッチ類を確認します。
・表示灯(パイロットランプ)の点滅に注意しながら、シーケンスの進行が正常であるか確認します。
・シーケンスの進行に異常があったり、着火しなかったりした場合は、即座にボイラーの運転操作を停止し、原因が何かを調べ、修復します。修復した後でなければ、再起動してはいけません。原因を修復せずに、手動に切り替えて点火等をすることも、危険なので行ってはいけません。

ボイラーの自動起動のトラブルは水位、油温、燃料圧力、低燃料位置などインタロックとの関連が多く、ここから重点的に点検をします。着火しないのに、原因を調べずに短時間に何度も起動操作を行った場合に、爆発や逆火が起こる可能性があります。

※シーケンスとは機器を自動制御する際の、あらかじめ設定しておく動作の順序。

○手動操作による点火方法
現在、ボイラーは手炊きの点火はあまりみられませんが、点火の操作は自動とほぼ同じです。
・点火棒を用意します。バーナ火口まで届く長さの鉄棒等に綿布等を巻き付けます。綿布に油をしみ込ませます。

点火の操作は下記の順で行います。

1.ファンを回し、ダンパをプレパージのところに設定し、換気をします。換気が終わったらダンパを点火位置に設定し、炉内通風圧を調整します。
2.点火棒に点火し、バーナの先端のやや前方下部におきます。
3.バーナを起動します。ロータリーバーナの場合はバーナモータを起動します。蒸気または空気噴霧式バーナは噴霧用蒸気または空気を噴射させます。
4.バーナの燃料弁を少しずつ開きます。点火用火種で点火し、炉壁の熱や他のバーナの火炎で点火してはいけません。

・バーナが2基以上あるボイラーの点火操作は、1基目のバーナに点火し、燃焼が安定してから2基目に点火します。バーナが上下にある場合は、下のバーナから点火します。

▲ガス炊きボイラーの点火
ガスは爆発の危険性が高いので、細心の注意が必要です。点火前準備、点火方法は油炊きボイラーとほぼ同じですが下記の事柄に注意して、点火操作をします。

○ガスの漏れがないかくまなく点検します。ガス漏れ検出器、石鹸液等の検出液を塗布して、ガス圧力のかかっている継手、コック、弁を点検します。
○ガス圧力が適正か、安定しているかを点検します。
○点火用火種は大きな火力のものが必要です。隣接しているバーナや炉壁の熱での点火は、事故の原因となるので、してはいけません。
○炉内、煙道の通風、換気は十分に行います。
○着火した後に燃焼がおかしいときはすぐに燃料をストップします。炉が冷えているときの低燃焼運転のときは、注意してください。

LESSON31ではボイラーの圧力が上昇したときの取扱いを学習します。
LESSON31 ボイラーの圧力が上昇したときの取扱い

▲ボイラーのたきはじめの注意
ボイラーのたきはじめの急激な燃焼はとても危険です。決して行ってはいけません。ボイラーの各部は膨張の度合いが異なりますので、最初から激しく燃焼させると、水管や煙管の取付け部や継手部からの漏れ、クラック(割れ)の原因となったりします。ボイラー本体は不同膨張を起こし、ボイラーとレンガ積みとの接触部のすき間が増して、レンガ積みの目地割れ等を起こします。鋳鉄製ボイラーは急熱、急冷で割れることがあります。

▲圧力上昇の加熱時間
ボイラーの形式、保有水量、給水温度等で所定の蒸気圧力まで上昇させるのにかかる時間は異なります。

○ボイラー本体に大きな温度差を生じさせない
○局部的な加熱を生じさせない
所定の蒸気圧力まで上昇させるのに必要な時間はこの両方から検討し、どちらか長い時間を要する方をとることが必要です。

冷たい水からの場合は一般に低圧ボイラーでは、約1〜2時間をかけて徐々に炊き上げなければいけません。

▲蒸気圧力が上がりはじめたときの取扱い
ボイラー内部に蒸気が発生し、蒸気圧力が高くなってくると特に注意が必要です。そして次のことを確実に実行しなければいけません。

○空気抜き
空気抜き弁から蒸気が吹き出る段階になったら、空気抜き弁を閉じます。圧力計の指針も少し上昇します。

○漏れの点検・増し締め
水面計・吹出し弁・その他附属品の取付け部、ふた取付け部、ふた取付け部に漏れがないことを確認します。漏れのあるところは増し締めします。漏れが止まらないときは、ボイラーの運転を停止し、原因を究明し、処置しなければいけません。
点検整備直後のボイラーの使用は、掃除穴、マンホール等のふた取付け部分は漏れの有無に関係なく、昇圧中、昇圧後は増し締めを実行します。

○圧力の監視・燃焼の調整
圧力計の指針の動きには細心の注意をはらいます。圧力計の指針の動きがにぶいときは、内部ギアが引っ掛かっている場合があります。そのときは圧力計の背面をたたいて、正常に機能しているか、確認します。機能に疑いのあるときは交換します。圧力計の下部コックを閉じると、圧力が加わっているときでも、圧力計が交換できます。

○水位の監視
2つの水面計の水位が同じかどうか、確認します。
ボイラー水は加熱されると、体積が膨張し、水位が上がります。水位が動かないときは、連絡管の弁またはコックが閉じている場合があります。
休止中のボイラーを炊き始めるときは、ボイラー水が冷えていますので、圧力が上がりはじめた状態のときに、必ず水面計がボイラー内の水位を正しく表示しているか、テストする必要があります。

○吹出し装置の機能
ボイラーの圧力が上がりはじめたら、吹出しを行ない、吹出し弁、吹出しコックの操作に異常がないことを確認します。正常であれば弁、コックを閉めます。
吹出し弁から先の吹出し管の開口部を点検し、ボイラー水の漏れがないか確認します。

▲圧力上昇中の取扱い

○送気始めの取扱い
送気とは蒸気を送ることをいいます。主蒸気弁を初めて開くときは、ウォータハンマを起こさないように気をつけます。

※ウォータハンマ(水撃作用)とは配管内の蒸気がドレンになり、その水の塊が蒸気に押されて管の曲がり角などに激しく当たる現象です。
※ドレンとは空気が熱を失って凝縮した水のこと。気体である蒸気が液体である水に相変化した姿

○送気始めの蒸気弁の開き方

1.蒸気を送り込む方の主蒸気管、ドレン弁を全開します。蒸気トラップがある場合は、バイパス弁を開けます。
2.主蒸気管に少しの蒸気を入れ、管を暖めます。これを暖管操作といいます。
暖管操作は下記のように行ないます。
a.大口径の主蒸気弁で、小口径のバイパス弁がある場合、先にバイパス弁を開けて蒸気を送り、蒸気管を暖めます。
b.主蒸気弁が蒸気使用中の蒸気だめに連絡いているときは、蒸気だめ側の蒸気止め弁を少し開いて、蒸気管内に逆送します。
c.これらの方法がだめな場合は、ボイラーの主蒸気弁を注意をしながら、少しずつ開いて蒸気を送り、ゆっくり時間をかけて暖管します。
3.暖管のあと、主蒸気弁を徐々に開きます。
主蒸気弁は全開状態になったら、必ずハンドルを少し戻しておきます。

○送気直後の点検

1.ドレン弁、バイパス弁等に開閉状態に異常がないか点検します。
2.送気するとボイラーの圧力が下がるのを圧力計で確認しながら燃焼量を調節します。
3.水面計の水位が変動するので、給水装置の運転状態を確認し、水位を監視します。
4.インタロック等の自動制御装置に異常がないか再点検します。

LESSON32 ボイラー運転中の調節


ボイラーの運転中、注意することが3つあります。

1. ボイラー内の圧力を規定の範囲に保つ
2. ボイラーの水位を安全低水面以下にさせない
3. 燃焼の状態に常に注意し、調節する

自動制御装置の完備したボイラーであっても、運転状況を監視し、安全に心がけなければなりません。

※安全低水面とはボイラーの運転中、維持しなければならない最低の水面(水位)をいいます。ボイラーの種類によって安全低水面がちがいます。
▲水位の維持

ボイラーの運転中、特に注意することはボイラーの水位を安全低水面に保持することです。水面計で水位を常に監視します。水面計の正確を期すために、ときどき機能試験をすることが大切です。

○水位の監視

ボイラーの水位は一定に保つようにしなければなりません。
2つの水面計の水位をチェックし、2つの水面計の指針が同じでなければ、故障が考えられます。
原因が分かるまでは、水位は信頼できません。

○ボイラーの安全低水面

ボイラーの種類によって安全低水面が決められています。




○給水の監視

給水が正常かどうか水面計の水位で確認します。
給水装置が正常かどうかも水面計で確認します。
給水圧力も圧力計で監視します。

○ボイラー水の吹出し

ボイラー底部からの間欠吹出しは以下の場合に行ないます。

  □ボイラーを運転する前 □ボイラーの運転を停止したとき □燃焼が軽いとき
ボイラー底部に滞留したスラッジを排出するのに大変効果があります。
スラッジ、スケールが多量に生成するようなときは、使用中であっても吹出しを行なわなければなりません。

※スラッジとはタンク内の油分、さび等の沈殿物のこと
※スケールとはカルシウムやマグネシウム等の堆積物のこと

また次の点にも注意が必要です。

  □鋳鉄製ボイラーは、運転中の吹出しは絶対に行なわないでください。鋳鉄製蒸気ボイラーは復水がほとんど回収されますので、スラッジが少なく、吹出しはあまりする必要がありません。ボイラー水の一部を入れ替えるときは、燃焼をしばらく停止する場合に行ないます。
  □給湯用ボイラー等はスラッジ、酸化鉄の沈殿物をボイラーの休止時に吹出しを行ないます。
  □水冷壁の吹出しは運転中は絶対に吹出しを行なってはいけません。水冷壁のブローは排水用です。
▲蒸気圧力の管理

○圧力計の監視
ボイラーの圧力は圧力計で監視します。異常だと感じたときは、圧力計の交換をしてください。

○安全弁の確認
安全弁が吹いたときは、設定の圧力で作動したかどうか確認します。
▲燃焼の調節

ボイラーは圧力を一定に保つように燃焼量を調節することが大切です。燃焼量を大きくしたり、小さくしたりする場合は、それに合った空気量を変える必要があります。通風が適切でないと不完全燃焼を起こし、ばい煙の発生をさせたり、空気過剰でボイラーの効率を低下させたりと、さまざまなことが起こります。

燃料を完全燃焼させるためには次の注意が大切です。

  □燃料量と燃焼のための空気量が適量であること。そして十分に混合接触させます。
  □炉(燃焼室)の温度はできるだけ高温を維持します。

○燃焼調節の注意

1. 燃焼中の火炎がボイラー本体、炉壁、レンガ壁に衝撃を与えるような無理だきをしない。常に火炎の流れの方向を監視します。
2. 燃焼量を急激に増減しないようにします。手動操作のときは、燃焼量を増やすときは空気量を先に増やしてから、燃料量を増やし、減らすときは燃料量を減らしてから空気量を減らします。
3. 不必要な空気の供給をして、炉内温度を低下させないように高温に保ちます。
4. 加圧燃焼では、断熱材やケーミングの損傷、燃焼ガスの漏出を防ぎます。
5. 燃焼の空気量に注意し、効率の高い燃焼に心がけます。

空気量の過不足は燃焼ガス計測器か、炎の形、色によって判断できます。燃焼ガス計測器ではCO2、CO、O2の値で判断します。炎の形、色で判断するときは
 □空気量が多い場合、炎は短く、輝白色で炉内は明るい
 □空気量が少ない場合、炎は暗赤色で、煙で炉内の見通しが悪い
 □空気量が適量の場合、薄い橙(だいだい)色で、炉内の見通しが良い

○油だき、ガスだきボイラーの燃焼

油だき、ガスだきボイラーは燃焼中に突然火が消えることがあります。燃焼しているかどうか、いつも監視をしなければなりません。

燃焼が中断したときは、手動では直ちに燃料弁を閉じ、ダンパを全開にし、炉内換気を行ないます。自動制御の場合はこれらのことが自動的に行なわれます。油が炉内に漏れているときは、燃料弁を閉じて炉内換気を十分に行ないます。
ハイ・ロー・オフ動作による制御の場合は、高燃料域と低燃料域があります。

低燃料域は燃焼装置の最低燃料量を上回ったところに設定されます。

※最低燃料量とは、これ以上減ずると燃焼が危険な状態になるという最低限度のこと。燃料や燃焼方法にとって異なります。

燃焼装置は燃焼量が最低燃焼量を下回らないように、インターロック装置で保護されます。
バーナが2本以上の場合、燃焼量を減少させるときの安全な方法は、全体を絞るより、バーナの数を減らします。

▲自動制御によるボイラー運転中の取扱い

ボイラーは運転中に必要な点検・確認のさまざまな作業があります。

○蒸気圧力制限器、蒸気圧力調節器
1.マイクロスイッチ、水銀スイッチを使用しているものは、スイッチの動きがスムーズか、振動等でスイッチに異変がないかを確認します。
2. 蒸気圧力が設定圧力に達したとき、燃焼が停止するか確認します。

○温水温度制限器、温水温度調節器
1. 燃焼が設定温度で停止するか確認します。
2. 異常な振動が調節器、導管に加わっていないか確認します。

○燃料遮断弁、燃料調節弁
1. 異常な音の振動、過熱、異臭がないか点検します。
2. 弁等の接続部分から燃料の漏れがないか点検します。

○燃料調節弁、燃焼空気ダンパ、コントロールモータの状態
1. 連結機構に緩みがなく、動きがスムーズか確認します。
2. コントロールモータが過熱していないか確認します。
3. コントロールモータの回転角度に異常がないか確認します。

○主安全制御器
1. 主安全制御器、補助リレー、タイマ、電磁接触器等のうなりのある振動、過熱、異臭の異常がないか点検します。
2. 火炎検出電流を測定できるものは、電流の値が正常か測定し、確認します。
▲すす掃除

ボイラーは運転していくうちに燃焼側伝熱面に燃料によってすすが付着して汚れ、伝熱効果を低下させます。
水管ボイラーでは運転中にスートブロー(すす吹き)、煙管ボイラーでは運転を停止して煙管掃除を道具で行ないます。
すす吹き(スートブロー)には蒸気噴射、圧縮空気噴射のものが広く用いられています。

○スートブロー
1. スートブローの回数はさまざまな条件によって異なります。燃料の種類、負荷の程度、スートブロワの位置、蒸気温度等です。
2. 最大負荷よりやや低いところでスートブローは行ないます。すすによる粉じん爆発の危険性があるため、消化直後の高温炉内で行なってはいけません。
3. 燃焼量の低い状態でスートブローを行なうと、火を消す恐れがありますので、行なわないようにします。
4. 蒸気、圧縮空気とも、ドレンを十分に抜いてからスートブローを行ないます。
5. 1カ所に長く吹き付けないようにします。
6. スートブローを行ったときは、煙道ガスの温度、通風損失を測定し、効果を調べるようにします。

○煙管のすす掃除
炉筒煙管ボイラー、外だき横煙管ボイラーは前面、後部の扉を開いて、長い棒の先端にワイヤブラシをつけたものですす掃除をします。

LESSON33 ボイラー運転中の障害と対策

▲ボイラー水位の異常

蒸気ボイラーで水面計に水位が現れないのは、さまざまな異常が考えられます。

○水面計の汚れによる誤認等水位の監視不良
○水面計の機能不良
○水位が高すぎたり低すぎたりする水位の異常
○プライミング、ホーミングの発生

すぐに水面計の試験を行ない、水位を確認し、それぞれの原因に応じた処置を行ないます。
低水位の場合は過熱で危険な状態になっているときですから、迅速に対処します。

※プライミング(水気立ち)とは、蒸気流量の急増等によるドラム水面の変動により、ボイラー水が水滴となって蒸気とともに運び出されることをいいます。
※ホーミング(泡立ち)とは、溶解性蒸気残留物の過度の濃縮や有機物などで泡が発生し、ドラム内に広がり蒸気に水分が混入して運び出されることをいいます。

●異常低水位(からがま)の原因

1. ボイラー水の漏れ
2. 蒸気の大量取出し、蒸気の大量消費
3. 自動給水装置、低水位燃料遮断装置の不作動
4. 給水不能

●異常低水位の処理

1. 燃料の供給を止めて消化する
2. 換気を行ない、炉内を冷却する
3. 残存水面上にある加熱管が冷却されるので、給水は行なわない。鋳鉄製ボイラーの場合は絶対に水を送ってはいけません
4. ボイラーが自然に冷却してから、原因、各部の損傷を確認、点検します
安全弁を作動させると、蒸気が排出され、水位がさらに低下しますので、作動させてはいけません。
▲ボイラーの非常停止

異常事態等でボイラーを緊急停止しなければならないときは、原則として下記の順序で処置します。

1. 燃料の供給を停止します
2. 炉内、煙道の換気を行ないます
3. 主蒸気弁を閉じます
4. 給水が必要なときは、給水を行ない、必要な水位を維持します
5. ダンパは開放したままにします
停電の場合は上記の操作をした後、電源スイッチを切り、炉からバーナを取出します。地震による緊急停止の場合は、さらに油タンクの弁を閉じ、油加熱器の電源、蒸気を停止して、火災にならないようにします。
▲自動制御ボイラーの異常停止

自動制御のボイラーが異常停止した場合は各部分の点検、停止の原因を調べます。

○点火装置(点火用電極、変圧器等)
○火炎検出機構(火炎検出器、主安全制御器等)
○インタロック機構(低水位、油圧、ガス圧等)
○電気配線(端子ねじ、電気絶縁等)
停止の原因は他にも燃焼装置が異常の場合もあるので注意します。
▲キャリオーバ(気水共発)

ボイラー水中に含まれる不純物や水滴が蒸気とともに多量にボイラー外に運び出されることをキャリオーバといいます。
キャリオーバの発生の原因はプライミング(水気立ち)、ホーミング(泡立ち)の2種類に分けられます。

ボイラー水が水滴となって蒸気とともに運び出される
○蒸気負荷が過大である場合 ○高水位である場合 ○主蒸気弁を急開した場合 ○ドラム内の気水分離が不良のとき
ホーミング(泡立ち)
蒸気部に泡が大量に発生し、蒸気に水滴が混入して運び出される
○ボイラー水に浮遊物、油脂等の不純物を多く含む場合 ○ボイラー水が吹き出し不足で濃縮しすぎた場合


キャリオーバイメージ図

●キャリオーバの原因と処置

キャリオーバにはさまざまな原因が考えられますが、多くはボイラー水の吹出し量の不足か水管理の不良です。

○ボイラー水位が高く、蒸気負荷が過大である場合→燃焼量を下げます
○主蒸気弁を急開した場合→主蒸気弁等を徐々に開き、水位の安定を保ちます
○ドラム内の気水分離が不良の場合→一部をブロー(吹出し)します
○ボイラー水が浮遊物、油脂、その他の不純物を多く含む場合→水質試験を行い、吹出し量を増し、必要によりボイラー水を入れ替えます

さまざまな対策を講じてもプライミング、ホーミングが止まらないときは、ボイラー水の吹出しと給水を何度も繰り返します。
それでも止まらないときは、ボイラーを停止し、冷却して、内部の気水分離器等を調べ、掃除を行ないます。

●キャリオーバ(気水共発)の障害

ボイラー水が濃縮しすぎた場合、キャリオーバが起こると様々な障害が起こりやすくなります。

1. 蒸気の純度が低下します
2. ボイラー水が激しく揺動し、水位が不安定になり、水面計の水位が確認しにくくなります
3. 過熱器のあるボイラーの場合、蒸気温度や過熱度が低下し、さらに過熱器を汚し、破損することがあります
4. 蒸気中に水分が多く混入するため、配管内でウォータハンマが発生し、配管、弁、継手、蒸気機関等に損傷を与えることがあります
5. 安全弁が汚れたり、圧力計の連絡穴にスケールや異物が詰まったり、水面計の蒸気連絡管にボイラー水が入ったりして、それぞれの性能に障害を与える場合があります
6. 自動制御関係の検出機器などは、開口部や連絡配管のつまりや機能の障害を起こします

※検出機器とは差圧式蒸気流量計、水位制限器、水位調節器、圧力制限器、圧力調節器などをいいます。

7. プライミング、ホーミングが急激に起こると、水位制御装置が水位が上がったと認識し、ボイラー内の水位を下げ、低水位事故を起こすおそれがあります
8. 食品加工工場などで直接蒸気と接触する製品の場合は、製品の汚染、異臭などが発生することがあります
▲二次燃焼と燃焼ガス漏れ

○二次燃焼とは
不完全燃焼によって発生した未燃ガス、すすが煙道内で再び燃焼することをいいます。未燃すすによる再燃焼をスートフャイヤといいます。二次燃焼は空気予熱器やケーシング等を焼損することがあります。

○燃焼ガス漏れ
加圧燃焼方式ボイラーは、炉壁が損傷し、燃焼ガスが漏れると熱損失を招くだけではなく、ケーシングの腐食、過熱変形等の原因になります。ボイラーの内外点検時には細心の注意をはらい、ガス漏れがないかどうかを確認します。必要に応じて、漏れている箇所を発見したときは、補修を行ないます。
▲バックフャイア(逆火)

バックフャイア(逆火)とは、たき口から火炎が突然炉外に吹き出る現象のことです。ボイラー取扱者が火傷等を負うことがあるため、注意が必要です。バックフャイア(逆火)はボイラーの運転中にバーナの火炎が突然消え、燃焼室の余熱で再び着火したときに起きる場合があります。

●バックフャイア(逆火)が発生しやすい場合

1. 煙道ダンパが不足している場合、炉内の通風力が不足している場合
2. 点火のときに着火遅れが生じた場合
3. 空気より先に燃料を供給した場合
4. 複数のバーナを有するボイラーが、燃焼中のバーナの火炎を利用して、次のバーナに点火した場合
▲ガス爆発、油漏れによる火災の防止

油燃焼ボイラーの場合は、油の蒸気と空気の混合によるガス爆発や油漏れによる火災の防止に十分注意しなければいけません。突然消化したときは次の処置が必要です。

1. 燃料弁を閉め、油の供給を止めます。
2. ダンパを全開にし、炉内に空気を入れ、換気します。
3. 異常消化後、まだ油が流入していると油が蒸発して、爆発することがあるので、注意します。
4. 異常消化が起きた場合、原因を調べ、改善してから点火します。火災の防止は油タンク、油配管等から油漏れがないか点検し、引火の危険がないように十分に注意します。
▲炭化物(カーボン)の除去

バーナチップ、炉壁等に炭化物が付着したときは、すぐに燃焼を止め、炭化物を取り除き、付着した原因を調べます。
炭化物生成の原因と処置は下記のとおりです。

1. 油噴射角度が適正でない場合→バーナの取付けを正しくし、バーナチップかカップを交換します。
2. 油圧、油温が適正でない場合→圧力、温度を適正にします。
3. バーナチップの汚損・摩耗の場合→清掃するか交換します。
▲火炎中の火花の防止

油燃焼中、火炎中に火花が生じることがあります。火花の発生を防止するためには、様々な原因を取り除かなければなりません。
主な原因は下記のとおりです。

1. バーナの故障か調節の不良
2. 油の温度、圧力の不適正、噴霧媒体の圧力の不適正
3. 通風の強すぎ
▲異常消化の場合

すぐにバーナの燃料弁を閉め、異常の有無を点検し、下記の事項について必要に応じて是正措置を講じます。

1. バーナの噴油口が詰まってないか
2. 油ろ過器が詰まってないか
3. 燃料遮断装置が動作していないかどうかを確認します。
4. 燃料弁を絞りすぎていないか
噴油量に対して燃焼用空気量が多すぎないか
5. 油に水分、空気、ガスが多く含まれていないか
6. 蒸気噴霧式の場合には、蒸気に水分が含まれていないか
7. 噴射蒸気、噴霧空気の圧力が強すぎないか
8. 油の温度が低すぎないか
9. 停電していないか

バックフャイアが起きた場合は下記の事項について点検し、必要な是正措置を講じます。

1. 通風が悪くないか
2. 油の温度が高すぎたり、低すぎたりしないか
3. 油に水分、空気、ガスが含まれていないか
4. 無理だきしていないか
5. バーナが汚損していないか
火炎がふるえて安定しないときは、バーナの位置、煙道の構造等の欠陥によることも多いので、よく点検して原因を取り除くようにすることが大切です。

LESSON34 ボイラーの運転停止


ボイラーの運転を停止する場合、蒸気、温水の使用先を考慮して行なう必要があります。
燃焼室がレンガ積みの多い大容量のボイラーでは、消化後も炉壁が余熱を持っていますので、蒸気圧力が上昇しないことを確認してから、主蒸気弁を閉じます。
▲ボイラー停止の際の一般的手順

1. 蒸気の使用先と連絡を取り、作業終了時までの蒸気を残し、運転を止めます。
2. レンガ積みのボイラーでは、レンガ積みの余熱で圧力が上昇する恐れがないことを確かめて、主蒸気弁を閉じます。
3. ボイラーの圧力を急に下げたり、レンガ積みを等を急冷しないようにします。
4. ボイラー水は常用水位よりやや高めに給水し、給水後は給水弁,主蒸気弁を閉じ、主蒸気管等のドレン弁は確実に開いておきます。
5. 他のボイラーと蒸気管の連絡がある場合は、その連絡弁を閉じます。
▲運転の停止

ボイラーの運転を終了するときは、一般的に下記の順序で行ないます。

1. 燃料の供給を停止します
2. 空気を送入し、炉内、煙道の換気を行ないます
3. 給水を行ない、圧力を下げ、給水弁を閉じ、給水ポンプを止めます
4. 蒸気弁を閉じ、ドレン弁を開きます
5. ダンパを閉じます
ボイラーの燃料種類別の運転停止は下記のとおりです。

●油だきボイラーの運転停止

□手動の場合の停止
1. 運転停止直前に油加熱器の電源を切り、油加熱器の温度を下げます
2. ボイラーの水位を上げ、バーナの運転を停止します
3. 炉内、煙道の換気(ポストパージ)はを行なった後、ダンパを閉じます
4. 炉からバーナを引き出し、清掃のうえ、油漏れの有無を点検します
5. バーナ周囲、ボイラー室内の油配管、継手等からの漏れ等の異常の有無を点検します
6. 油タンク、サービスタンクの油量を調べ、補給の計画をたてます

□自動制御の場合の停止
1. 制御盤等の停止スイッチを操作して、ボイラーの運転を停止し、各表示灯が停止中の表示に切り替わったことを確認します
2. ポストパージを完了し、ファンが停止したことを確認します
3. 電源、遮断器が制御回路用、油加熱用、給水用等に分けて設けられているものについては、特に給水ポンプが運転中等の場合は、それが停止したことを確認した後に、各電源遮断器を「切」にします。その後に主電源遮断器を「切」にして、電源表示灯が消灯したことを確認します。ポストパージを行なうものは、それが終了する前に主電源遮断器を「切」にしてはいけません
4. 燃料遮断弁で目視により、開閉が確認できる構造のものは、弁が完全な閉止状態にあることを確認します。バーナ停止後の異常の有無の点検は、手動の場合に準じます。

□ガスだきボイラーの運転停止
油だきボイラーに準じますが、ガス供給配管に監視コックが設けられている場合は、それを確実に閉止します。

▲作業終了時の点検

ボイラーの運転を停止し、すべての操作が終わったら再度安全のためにボイラーの周辺を点検します。
1. 制御盤の電源は切れているか
2. れんがの余熱による圧力上昇の危険はないか
3. 給水弁、排水弁、コックなどからの漏れはないか
4. 作業終了時の蒸気圧力、水位を確認します
5. 蒸気弁等からの漏れがないかを音等で確認します
6. 運び出した灰の処理は完全か、周囲に可燃物がないか確認します
7. 油配管、ガス配管、バーナチップ、弁、ポンプ等からの漏れはないか確認します
8. 燃料使用量、給水量、ボイラー洗浄剤の使用量等の記録をします
9. 暖房用ボイラーの場合は、ドレンの回収を確かめ、真空ポンプを停止します

次はボイラーの運転操作の最後のLESSON35になります。

LESSON35 石炭だきボイラーの燃焼


石炭だきボイラーには手だきと機械だきがあります。点火操作はどちらもほぼ同じです。
▲ボイラーの点火

機械だきボイラー(移動床ストーカで平衡通風装置の場合)の点火は下記の手順で行ないます。

1. 誘引ファンだけを起動し、炉内圧力を−50Pa程度になるように誘引ファンを調節し、排風を行なって、未燃ガスを排出します。(プレパージ)
2. 炭層の厚さを5cm程度にして1m位送ります。次に炭層の厚さを8cm程度にして、更に1m位送ります。
3. 炉内圧力が0~−20Pa程度になるように、誘引ファンと煙道ダンパを手動にして調節します。
4. 前の引戸を上げ、まき(薪)、油付き布切れ等に点火します。
5. 石炭が着火したら、火がコールゲート(炭層厚さ加減扉)を超えるまで送り、前の引戸を降ろして火の広がりを見ます。
6. 送炭を低速度で行ない、石炭層に火が燃えついたら、押込みファンを起動、通風を手動で調整し、火層の厚さを負荷に合わせて調節し、定常運転に入ります。
▲燃焼調節

1. 炭層の厚さと送り速度を負荷に応じて調節し、火格子後端の直前で石炭を燃え切らせます。
2. クリンカが側壁に付着してせり出し、火層を荒らしたり、吹き抜けを生じたりしないようにします。
3. 火格子の下に分割式ダンパがある場合は、その調節は必ずしなければいけません。
4. 燃焼中はストーカを絶対に停止してはいけません。

※クリンカとは石炭の溶融灰がガラス状に固化したもの
▲非常停止

石炭だきボイラーを非常停止する場合は、ストーカの運転を停止し、ファンを止めます。そしてたき口戸、アッシュダンパ等を開き、ダンパを開放し、灰や砂等で火を抑えます。
ボイラーの使用時に突然、蒸気の使用が停止されたり、地震、停電があったときは適切な措置を講じます。

○停電のときの操作
1. 電源スイッチを切ります。
2. ダンパを閉じます。主蒸気弁も同様に止めます。
3. インゼクタ、蒸気駆動給水ポンプ等により、ドラム水位の確保に努めます。

○蒸気使用停止の操作
1. 燃料の供給を停止し、一次空気も停止し、火力を弱めます。
2. ボイラー圧力の上昇を防ぐために、蒸気を安全なところに逃がし、給水を同時に行ないます。

○地震のときの操作
1. ストーカを止め、燃料の供給を停止、同時に押込ファンを停止し、一次空気の供給を断ち、そして蒸気を安全なところへ逃がし、圧力を下げます。防火対策も施します。
2. 大地震に見舞われたときは、まず避難し、安全を確保します。地震がおさまった後、損傷の度合いを調査し、異常がなければ給水し、通常運転を行ないます。
▲ボイラーの運転停止

1. ボイラー停止の基本操作を行ない、送炭停止後、送風を行ない、燃料を完全に燃焼させます。埋火(まいか)を行なうときは、火層の燃える状態を見て、火種となる分を残します。

※埋火とは、石炭だきボイラーを夜間や1〜2日程度の間休止させる場合は、次回の点火を容易にするため、燃えている石炭(燠/おき)を火格子上に埋めておく操作のこと。
※ストーカとは、「火格子」とも呼ばれ、石炭等を燃やす場所のこと。
▲埋火(まいか)

埋火をする場合、炉の余熱が多いと燃えだすおそれがありますので、ダンパをごくわずかに開いておいて、炉内温度を下げ、炉内や煙道内に未燃ガスがたまらないようにします。

○ストーカにおける埋火の手順
1. コールホッパの仕切り板を閉じます。
2. 火床がコールゲートから300mm位奥に送られてから、運転を止めます。
3. 炉内、煙道内に未燃ガスがたまらないように各ダンパを絞り、前の引戸を開き、コールゲートを全開します。
4. 火床のおきを一番手前の火床の位置に集め、その上に湿った石炭をのせ、さらにその上に湿った灰をかぶせて、たたき固め、最後にコールゲートを密閉し、前の引戸を閉じます。埋火のときはコールゲート、コールダンパ等が過熱焼損を起こさないようにしなければなりません。

※コールホッパとは、石炭を下に落とすためのじょうご型の装置です。

これでLESSON35は終了です。

難しい聞き慣れないことばがたくさん出てきますが、ボイラー技士がよく使う言葉なので、回を重ねるごとに慣れてくると思います。